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皆さん、こんにちは。
中国語のタイトルは「神笔马良」、日本語タイトルは「マーリャンの魔法の筆」です。
それでは、日本語訳をどうぞ。
「 昔、マーリャンという名の子供がいました。両親は早くに亡くなっており、自ら柴刈りや草刈りをして暮らしていました。彼は幼い頃から絵を描くことが好きでしたが、一本の筆も持っていなかったのです。
一年また一年と過ぎましたが、マーリャンは絵を描く練習を一日だって欠かすことはありませんでした。彼の住む洞窟の壁には一面、グラデーション画だの植物などの絵が広がっていました。もちろん、進歩もとても速く、彼の描いた鳥はまるで鳴き出しそうで、彼の描いた魚は今にも泳ぎ出しそうでした。
ある晩、マーリャンが洞窟で横になっていると、彼は一日の仕事と絵の勉強で疲れ切っており、横になるとすぐにうつらうつら眠ってしまいました。
気がつくと、洞窟の中に五色もの光が差し込み、白ひげの老人がやって来て、彼に一本の筆を差し出しながらこう言ったのです。「これは魔法の筆だ、しっかりと使ってくれ。」
マーリャンが受け取って見てみると、それは金に輝き、手に持つとずっしりと重い筆でした。彼は嬉しくて飛び跳ねると、「ありがとう、おじいさん・・・・」マーリャンの言葉がまだ言い終わらない間に、白ひげのおじいさんはすでにいなくなっていました。
マーリャンはびっくりして起きると、目をこすり、なんだ夢だったのか!いや違う!その筆はしっかりと自分の手の中にあったのです。
彼は嬉しくてたまらず、すぐに外に飛び出して行き、一軒一軒の家の戸を叩き、「筆を手に入れたぞ!」と言っては仲間を起こしました。このとき、まだ夜中。彼が筆で一匹の鳥を描くと、鳥はパタパタと羽を羽ばたかせながら空を飛び、彼に向って、ピーチクパーチク唄い始めたのです。彼が筆で一匹の魚を描くと、魚は尾を曲げて水の中に泳いで入り、彼に向ってゆらゆらと踊り始めたではありませんか。彼は楽しくなって、「この魔法の筆は、なんてすばらしんだ!」と言いました。マーリャンはこの魔法の筆を手に入れてからというもの、毎日まいにち、村の貧しい人たちに絵を描いてあげました。耕筰機がない家があれば、耕筰機を描いてあげ、水牛がない家があれば水牛を描いてあげ、水車がない家があれば水車を描いてあげ、磨ぎ石がない家があればすぐに磨ぎ石を描いてあげました。
このうわさはすぐに隣の村の長官の耳にも伝わりました。この長官はすぐに二人の家来に彼を連れて来させ、無理やり絵を描かせようとしたのです。
マーリャンは歳は小さいが、頑固な性格でした。彼はお金持ちの汚い心を見透かして、長官がどんなに彼を怒鳴り、脅かし、金の宝を描かせようとしても、絶対に描くことはありませんでした。とうとう長官は彼を馬小屋に閉じ込め、ごはんも与えませんでした。
マーリャンはそれでも生きていました。そればかりか、大きな火をおこし、温まりながら、熱々のお餅を食べていたのです。長官は、この火と餅は、あのマーリャンの魔法の筆で描いたのだ、と気がつきました。長官はこれを見て大変怒り、家来にマーリャンを殺してあの魔法の筆を奪えと命令しました。十数名もの凶暴な家来が、馬小屋に飛び込んで行きましたが、そこにはマーリャンの姿はなく、東側の壁に一本の梯子がかかっているだけでした。マーリャンは暗いうちに、この梯子を使って、壁をつたって逃げました。長官も急いで梯子をつかんで追いかけましたが、三歩も行かないうちに、落ちてしまいました。この梯子は、マーリャンが魔法の筆で描いたものだったのです。
マーリャンは何日も何晩も道を走り、ある町に辿りつきました。家からはとても離れてしまったので、ここに住むことにしたのです。彼は多くの絵を描き、街に持って行って売りました。他の人にこの魔法の筆のことを知られたくなかったので、絵を生かすことはせず、描くものは、口がなかったり、足がなかったりするものでした。
ある日、彼は一匹の目のないツルを描きましたが、誤って、その顔の中に墨を一滴たらしてしまいました。ツルは目を開くと、羽を羽ばたかせ飛んで行ってしまったのです。
このとき以来、町中がざわめき始めました。現地の官員はすぐにこのことを皇帝に伝え、皇帝は彼を捕まえろと命令したのです。
皇帝は魔法の筆を手に取り、絵を描いてみました。まず金の山を描いてみました。描き終わるとどこが金の山でしょう。そこには積み重なった石があるだけでした。高く積み上がりすぎて、すぐにくずれ落ち、危うく皇帝の足も怪我をするところでした。
皇帝はまだ懲りずに、金の山がだめなら金塊だ!と描き終えてみると、どこが金塊でしょう。そこには長くて大きな大蛇が現れたのです。大きな口を開き、彼に向かってきます。
幸い、衛士たちが助けるのが速かったので食べられずにすみました。
皇帝は仕方がなく、マーリャンを開放し、彼に絵を描かせることにしました。皇帝は、金の山も金塊もだめなら、銭の木を描こう!銭の木には銭がなり、揺らせばすぐにたくさんの銭が落ちてくる、なんてすばらしい!と考え、すぐにマーリャンに銭の木を描くようにと命令しました。
マーリャンは心の中にあることを決めました。何も言わずに魔法の筆をふると、大きな果てしない海が目の前に現れました。青々とした海水、一つの波紋もなく、大きな玉の鏡のように輝いていました。皇帝はこれをみると、不機嫌になり、「銭の木を描けと言ったのだ!誰が海を描けと言った!」と罵りました。
マーリャンは大きな海の真ん中に小さな島を描き、島の上に高くて大きな木を描き言いました。「これが銭の木です。」皇帝はその眩しいぐらいに輝く金色の木を見て、唾をのむと、イヒヒと笑い、急いでマーリャンに「早く船を描け!海の真ん中に行って木を揺するのだ!」と言いました。マーリャンが大きなおおきな木の船を描くと、皇帝は母親、太子、姫、そしてたくさんの大臣、将軍をみな船に乗せました。
マーリャンがそれから何本かの風を描くと、海水が小さく波紋を作り、大きな木の船は動き出しました。
皇帝は船が動くのがとても遅いので、もどかしくなり、船の上で「風を強く!風を強く!・・・・」と叫ぶと、マーリャンはすぐに何本かの荒い風を描き加えました。海は激しくなり、白い帆もパンパンに張り、木の船は急速に海の真ん中に進んで行きました。
マーリャンはまた大きな風を描き加えました。大きな海は不安そうに大きな音をたてながら、波の渦が巻かれ、大きな木の船は激しく揺られました。
皇帝は恐くなり、マーリャンに向かって手を振り、大声で「風は十分だ!風は十分だ!・・・・・」と叫びました。マーリャンは聞こえないふりをして、手を休めずに風を描いています。海水は怒り、波も船の上まで上がってきました。船は傾き、船の上は乱れ始めました。
皇帝は海水に打たれ、全身びしょぬれになり、船の帆柱に抱き着きながら、叫び続けました。「風が強すぎる!船がひっくり返ってしまう!もう描くな!・・・・」マーリャンはそれでもかまわずに風を描き続けます。風はさらに強くなり、たくさんの厚いカラス雲が流れてきて、雷は鳴り響き、稲妻は光り、暴雨が降り始めました。波はさらに激しくなり、海水は高い壁のごとく押し寄せ、絶え間なく船に襲いかかってきます。船は転覆し、壊れ、皇帝たちは海底に沈んでいきました。
皇帝が死んでから、<魔法の筆>の話は広まりました。しかし、マーリャンがその後どこへ行ったのかは、誰も定かではありません。ある人はこう言います。「彼は自分の故郷である河南に帰り、農業をやってる仲間たちと一緒に暮らしている。」またある人はこう言います。「彼はあちこちを流浪して、貧しくて困っている多くの人たちに絵を描いてあげることを仕事としている。」と。」