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日本人と中国語

前回の物語は・・・29

2021年8月14日 CATEGORY - 日本人と中国語

皆さん、こんにちは。

前回の物語、皆さんはどんなお話かわかりましたか?

正解は・・・・

「食わず女房」でした。

では早速、日本語訳をどうぞ。

『昔、あるところに、大変けちな男がいました。

この男は炭を売って暮らし、できたお金で米を買って貯めこんでいましたので、男の家は米でいっぱいでした。

「おめえもいい加減、嫁をもらったらどうじゃ」

炭を売りに行った町で男は知人からそう言われましたが、

「めしを食わねえ女なら考えるわい」

と、笑い飛ばしました。

そんなある晩のこと。

不意に、男の家の戸を叩く音がしました。

「ごめんください。旅の者です。一泊させてはいただけませんでしょうか」

男が戸を開けると、そこには美しい女が立っています。

「泊まるのは構わんが、お前さんの食事はないぞ」

男の言葉に女はにっこりと笑いました。

「私はものを食わない女です。大丈夫」

そして女は本当に一日飯を食べず、家事も手伝いましたので、男はその女と結婚することにしました。

男は、自分の望む相手と出会えた嬉しさから、町でいろんな人に結婚を自慢しました。

すると、町民は、

「その女は普通じゃない。鬼か何かだ、気をつけろ」

とくちぐちに言います。

男は、まさか……と思いながらも気になりました。

そしてあるとき、出かけたふりをして、家の柱のかげに隠れ女の様子を確かめることにしました。

「はっ。なんだあれは」

男が見たのは、頭のてっぺんにある口からおにぎりを次々と食べている女の姿でした。

男は恐ろしくなって叫びました。

「やい! おまえは、ばけものだったんだな! 離縁だ、離縁だ!」

こちらを見た女はにたりと笑って、姿を鬼に変えました。

そうして男を桶に入れ、連れ去ってしまおうとしました。

しかし、男は隙を見て、なんとか逃げ出そうとしました。

女が気がつかないうちに桶から出て、菖蒲という花があつまっている場所にかくれました。

「どーこーだー!」

女はすぐに男をさがしにやってきて、かくれている男を見つけました。

ところが、菖蒲の香りをかぐと、顔をしかめて苦しんでいます。

男は菖蒲の花をつかみ、女に投げつけました。

すると女は悲鳴をあげて、どこかへ走り去ってしまいました。

男はその後ろ姿を見てほっと胸をなでおろし、つぶやきました。

「めしを食わない嫁なんか、欲しがるもんじゃあねえんだな……」